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【第一次案】第1部 破産手続: 第8 債権者委員会

<1> 裁判所は、破産債権者をもって構成する委員会がある場合には、利害関係人の申立てにより、当該委員会が、破産法に定めるところにより、破産手続に関与することを承認することができるものとする。ただし、次に掲げる要件のすべてを具備する場合に限るものとする。
(i)委員の数が、三人以上最高裁判所規則で定める人数以内であること。
(ii)破産債権者の過半数が当該委員会が破産手続に関与することについて同意していると認められること。
(iii)当該委員会が破産債権者全体の利益を適切に代表すると認められること。

<2> 裁判所は、必要があると認めるときは、破産手続において、<1>により承認された委員会(以下「債権者委員会」という。)に対して、意見の陳述を求めることができるものとする。

<3>債権者委員会は、破産手続において、裁判所又は破産管財人に対して、意見を述べることができるものとする。

<4> 裁判所は、利害関係人の申立てにより又は職権で、いつでも<1>による承認を取り消すことができるものとする。(民事再生法第118条、新会社更生法第117条参照)

(注)
1この考え方は、破産債権者の意思を破産手続に反映させるための手段を充実させるために 民事再生法及び新会社更生法と同様に、債権者委員会の制度を設けるものとするものである。意見照会においても、このような制度を設けることについては、多数の賛成意見が寄せられ ほぼ異論がなかった。

2( i) 債椎者委員会の権限について、再生手続において認められている意見陳述権等(上記<2>及び<3>参照)や債権者集会の招集請求権(倒産法部会資料28第7・1(2)ア参照)以外に、どのようなものを認めるかという点については検討を要するとされていたところである(中間試案第1部、第8(注)参照)。この点について、意見照会においては、債権者集会の申立権が認められれば 破産管財人に対する監督は十分機能するし、<3>による意見陳述権が認められれば、破産債権者の意見を破産手続に反映することができる等の理由から、上記<2>及び<3>の権限を認めることで足りるとの意見が寄せられており、上記の案でもこれを採用している。

(ii)他方、再生手続の実務において債権者委員会の活用事例が少ないとの指摘がされていたことから、新会社更生法においては、債権者委員会の活用を促すために、その権限を次のとおり拡張するものとしている(更生手続においては、更生債権者、更生担保椎者又は株主についてそれぞれの利害を代表する委員会が認められている。)すなわち、(ア)更生手続に参加する更生会社の事業の更生に貢献する活動があったと認められるときは、当該委員会の費用償還請求権を共益債権として取り扱うものとして、裁判所が相当と認める額の費用を償還することを許可することができる(新会社更生法第117条第4項)、(イ)<1>により債権者委員会の設置が承認されたときは、戦判所書記官は遅滞なく管財人に対してその旨を通知するものとし、管財人は、その通知を受けたときは、遅滞なく更生会社の財産の管理に関する事項について債権者委員会の委見を聴かなければならない(新会社更生法第118条)、(ウ)管財人は報告書等(中間試案第1部、第 5の4参照)を裁判所に提出したときは、当骸報告書を債権者委員会にも提出しなかればならない(新会社更生法第119条)、(エ)債権者委員会は、更生債権者全体の利益のために必要があるときは、裁判所に対し、管財人に更生会社の業務及び財産の管理状況その他更生会社の事業の再生に必要な事項について、裁判所が管財人に一定の事項を報告するように命ずる(中間試案第1部、第5の4<2>参照)ように申し出ることができるものとし、裁判所は、当該申出が相当であると認めるときは、管財人に対し、当該報告を命じなければならない(新会社更生法第120条)ものとするものである。

(iii)このうち、(ア)については、事業の更生に貢献した場合には、裁判所がその貢献の程度を考慮して相当と認める額の範囲内において費用償還請求権を共益債権として取り扱うものであるが、破産手続においても、債権者委員会の活動に要した費用は共益性が認められる限りにおいて、財団債権として優先的に弁済することが可能となることからすると、清算型の倒産処理手続である破産手続において、あえて(ア)のような規定を設ける必要性は少ないと考えられるが、どうか。次に、(イ)から(エ)までについては、破産管財人と債権者委員会との意思疎疎通が円滑に行われるようにその端緒を与え、又は債権者委員会の情報収集機能を高めることを目的とするものであるとされており、これらの趣旨は破産手統にも同機にあて はまるものといえる。そこで、(イ)から(エ)までの制度については、破産手続においても採用するものとすることが考えられるが、どうか。

3 意見照会に対して寄せられた意見の中には、債権者委員会の設置にあたっては、労働組合の参加を必要的とすべきであるとの意見があるが、どのように考えるか。この点については、債権者委員会は、監査委員制度の廃止に伴い、破産債権者の意思を破産手続に反映させるための手段を充実させるために設けられるものであり、破産債権者全体の利益を適切にに代表することをその本質とするという位置付け(<1>(iii))に照らすと、適正かつ公平な財産の清算を目的とする破産手続において、特定の破産債権者の利益を代表する者を必要的に参カロさせることは、このような目的に一段的に適合するとはいえないのではないかと考えられるが、どうか。

目次

○トップページ

■第一次案

第1部 破産手続

第2部 個人の破産手続の特則及び免責手続等

第3部 倒産実体法

第4部 その他

■第二次案

第1部 破産手続

第2部 個人の破産手続の特則及び免責手続等

第3部 倒産実体法

第4部 その他

■第三次案

第1部 破産手続

第2部 個人の破産手続の特則及び免責手続等

第3部 倒産実体法

第4部 その他

■残された課題

第1部 破産手続

第2部 個人の破産手続の特則及び免責手続等

第3部 倒産実体法