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【残された課題】第2部 個人の破産手続の特則及び免責手続等: 第2 免責手続

(第1・第2関係後注)
1 個人再生手続開始の要件
個人である債務者のうち、将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあり、かつ、再生債権の総額(住宅資金貸付債権の額、別除権の行使によって弁済を受けることができると見込まれる再生債権の額及び再生手続開始前の罰金等の額を除く。)が5000万円を超えないものは、個人再生に関する特則の適用を受ける再生手続を行うことを求めることができるものとする(民事再生法第231条第1項、第239条第1項参照)。

2 最低弁済額要件
次の場合には、再生計画不認可の決定をするものとする(同法第231条第2項第3号、第241条第2項第5号参照)。
(1) 手続開始の要件となる再生債権の総額が3000万円以下の場合においては、計画弁済総額が基準債権の総額の5分の1又は100万円のいずれか多い額(基準債権の総額が100万円を下回っているときは基準債権の総額、基準債権の総額の5分の1が300万円を超えるときは300万円)を下回っているとき。
(2) 手続開始の要件となる再生債権の総額が3000万を超える場合においては 再生計画にご基づく弁済の総額が手続開始の要件となる再生債権の総額の10分の1を下回っているとき。

(注)
第31回会議において、最低弁済額要件を見直すに当たっては、住宅資金貸付債権に係る債務を負担していながら、住宅資金特別条項を定めない再生債務者の最低弁済額について、現行法上の取扱いを維持されたいとの意見が述べられた。
すなわち、例えば、住宅資金貸付債権2000万円、住宅資金貸付債権以外の再生債権2000万円を負担する再生債務者が個人再生手続を利用した場合において(民事再生二法第211条第1項、第239条第1項)、住宅資金特別条項を定めないときは、基準債権の総額は4000万円となり(同法第231第2項第3号、第230条 第6項、第226条第5項) 現行法による最低弁済額は300万円となる(同法第231条第2項第3号、第241条第2項第5号)のに対し、倒産法部会資料41で提示した案によると、基準債権の総額が3000万円を超える場合には、その10分の1が最低弁済額となるため、上記の例における最低弁済額は400万円となり、最低弁済額に100万円の差を生ずるので、このような差を生じないようにすべきであるとの意見であると考えられる。
そこで、このような者に対する現行法の取扱いを維持しつつ、かつ、個人再生手続 開始の要件となる再生債権の総額が3000万円を超えた場合の最低弁済額との調整を図るべく、手続開始の要件となる再生債権の総額の10分の1を最低弁済額とすることで、どうか。この考え方によった場合には 例えば、住宅資金貸付債権に係る債務が2000万円で再生債務者が住宅資金特別条項を定めない場合において、住宅資金貸付債権を除いた再生債権が3000万円のときは(1)により最低弁済額は300万円となり、住宅資金貸付債権を除いた再生債権が4000万円のときは(2)により最低弁済額は400万円となることとなる。

3 個人再生委員の必要的選任
手続開始の要件となる再生債権の総額の上限を引き上げた範囲に属する個人再生事件(再生債権の総額が3000万円を超え、5000万円以下のもの)には、制度上、個人再生委員の選任を必要的にすべきであるとの考え方については、第31回会議において手続の適正さの確保の観点からこれに賛成する意見と、現行法においても裁判所は必要があると認めるときには職権で個人再生委員を選任できるのである(民事再生法第223条 第1項本文)から、運用で十分に対処できるとの意見に分かれたが、どのように考えるか。

目次

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■第一次案

第1部 破産手続

第2部 個人の破産手続の特則及び免責手続等

第3部 倒産実体法

第4部 その他

■第二次案

第1部 破産手続

第2部 個人の破産手続の特則及び免責手続等

第3部 倒産実体法

第4部 その他

■第三次案

第1部 破産手続

第2部 個人の破産手続の特則及び免責手続等

第3部 倒産実体法

第4部 その他

■残された課題

第1部 破産手続

第2部 個人の破産手続の特則及び免責手続等

第3部 倒産実体法