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【第一次案】第1部 破産手続: 第15 大規模破産事件

1大規模破産事件の管轄の特例
<1> 債権者数が500 人〔300人]以上であるときは、通常の管轄裁判所(破産第105条から第107条まで参照)を管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所にも、破産の申立てをすることができるものとする。

<2> 債権者数が10 0人以上であるときは、東京地方裁判所又は大阪地方裁 判所にも、破産の申立てをすることができるものとする(新会社更生法第5条第2項第6号参照)。

(注)
1 中間試案においては、上記<2>の考え方とともに、特例の適用の基準となる債権者数をより少なくした上で、高等裁所の所在地を管轄する地方裁判所にも競合管轄を認める考え方についても示していた(中間試案第1部、第15の2)が、意見照会においては、いずれの考え方についても、多数の賛成意見が寄せられたことから、今回の資料では、上記<1>の考え方も併せて示している。

2  上記<1>の基準となる債権者数については、意見照会において、500人とすべきであるとの意見が寄せられたことから、これを本案出 当部会の従前の議論を踏まえて、300人とする別案をも示している。

3 上記<2>の考え方に対しては、破産事件は、知的財産権に関す事件と異なり、特殊な事件ではないことから、債権者数が1万人を超えるような特殊な事件に限定して、東京地方裁判所又は大阪地方裁判所に移送することができるという程度にとどめるべきであるとの意見が寄せられたが、迅速な事件処理が求められる場合には、移送の制度では十分に対処することができないことから、管轄の特例を設ける必要があると考えられる。また、債権者の便宜考えれば、破産事件を東京又は大阪に事実上集中させるような特例を設けることは適当ではないとの意見も寄せられたが、情報開示や手続参加の方法等についての制度的手当又は運用上の工夫をしても、なお仮看過することができないような重大な不都合が生ずることがあるか。

(後産)
再生手続においても、同様の手当てをするものとする.
2 債権者に対する公告及び通知についての特則
裁判所は、破産宣告に際して知れている債潅者、債務者及び財産所持者に対する破産法第143条第1項に掲げる事項の通知をする場合において、当該債権者の数が1000人以上であるときは、当該債権者に対しては、その後の当該債権者に対する通知をしない旨の通知をすることができるものとする。

(注)
1 意見照会においては 前記2の考え方に多数の賛成意見が寄せられた。

2 中間試案においては、さらに、大規模破産事件における通知については、(a)破産管財人の氏名若しくは名称又は住所に変更を生じた場合(破産法第143条第3項参照)等に限って、個別の通知を省略するものとする考え方、(b)裁判所は、相当と認める方法により、破産宣告の場合も含め、債権者に集団的に周知させるために必要な措置を講ずることをもって、個別の通知に代えることができるものとする考え方を示して、これらの考え方の当否については、なお検討するとしていた(中間試案第1部、第15の3の(注)参照)・意見照会においては、(a)については、賛成する意見が多かったものの、反対する意見も少なからず奇せられた。もっとも、反対する意見のほとんどは、(a)の考え方では、合理化の効果が限定的であるという趣旨で不十分とするものであった。他方で、(b)の考え方については、多数の賛成意見が寄せられた。そこで、(b)の考え方について、さらに検討することで、どうか。たとえば、債権者に集団的に周知させるために必要な措置として、日刊新聞紙への掲載、裁判所又は破産管財人が主催するウェブサイトへの掲載のほか、具体的にどのようなものを想定することができるか。

3 従前の当部会の議論では、特則を認めるべき事項ごとに、特則の適用要件に差異を設けることもありうるとの指摘があったが、前記2については、1000人以上とすることで、よいか。通知の特則を設けるのは、費用の低減を図り、事務処理の省力化を図ること等を狙ったものであるが、そのような観点からは、さらに要件を絞る(たとえば、1万人以上)とすることは、考えられないか。

(後注)
再生手続及び更生手続においても、同様の手当てをするものとする。

3 議決権の行使方法
裁判所は(債権者の数が1000人以上であるときは)、決議をするための債権者集会を招集するに当たり、議決権行使の方法について、次に掲げる方法のいずれかを定めるものとするものとする。
<1>債権者集会の期日において議決権を行使する方法
<2>書面等投票(書面その他の最高裁判所規則で定める方法のうち裁判所の定めるものによる投票をいう。)により裁判所の定める期間内に議決権を行使する方法。
<3><1>及び<2>に掲げる方法のうち議決権者が選択するものにより議決権をこうしする方法。

(注)
1 中間試案においては、裁判所は、決議をするための債権者集会を招集するに当たり、相当と認めるときは、議決権を行使することができる破産債権者であって当該集会に出席しないものが裁判所の定める期間内に書面その他の最高裁判所規則で定める相当な方法をもって議決権を行使することができる旨の決定をすることができるものとする考え方の当否については、なお検討するとしていた(中間試案第1部、第15の(大規模破産事件関係後注2)参照)が、意見照会においては、この考え方に賛成する意見が多数を占めた。

2 中間試案の考え方は、既に、新会社更生法及び民事再生法において書面等投票として実現されている(平成15年4月1日施行予定)が、そこでは、債権者数、事件の規模の大小等にかかわらず、裁判所が、<1>関係人集会(債権者集会)の期日において議決権を行使する方法、<2>書面等投票により裁判所の定める期間内に議決権を行使する方法、

<3><1>又は<2>の方法のち議決権者が選択するものにより議決権を行使する方法の中から、具体的事案の下で最も適切なものを選択することを予定している(新会社更生法第189条第2項後段、民事再生法第169条第2項参照)。したがって、各手続間の制度的なバランス、特に再生手続とのバランスの観点からは、破産手続についても、大規模破産事件の特則としてではなく、一般的に、三種類の議決権行使の方法を認めることか考えられるが、どうか。

目次

○トップページ

■第一次案

第1部 破産手続

第2部 個人の破産手続の特則及び免責手続等

第3部 倒産実体法

第4部 その他

■第二次案

第1部 破産手続

第2部 個人の破産手続の特則及び免責手続等

第3部 倒産実体法

第4部 その他

■第三次案

第1部 破産手続

第2部 個人の破産手続の特則及び免責手続等

第3部 倒産実体法

第4部 その他

■残された課題

第1部 破産手続

第2部 個人の破産手続の特則及び免責手続等

第3部 倒産実体法