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【第一次案】第1部 破産手続: 第9 代理委員

<1> 債権者は、裁判所の許可を得て、共同して又は各別に、一人又は数人の代理委員を選任することができるものとする。

<2> 代理委員は、これを選任した債権者のために、破産手続に属する一切の行為をすることができるものとする。

<3> 代理委員が数人あるときは、共同してその権限を行使するものとする。ただし、第三者の意思表示は、その一人に対してすれば足りるものとする。

<4> 裁判所は、代理委員の権限の行使が著しく不公正であると認めるときは、<1>の許可を取り消すことができるものとする。(民事再生法第90条、新会社更生法第122条参照)

(注)
1 意見照会においては、裁判所による代理委員の選任勧告又は職権による選任の制度を 設けないものとすることについて多数の賛成意見が寄せられた。具体的には、破産手続は債務者の財産を清算することを目的とするものであり、代理委員は結局個々の破産債権者の利益を図る者として位置付けられるものに過ぎず、再生手続や更生手続のように、計画案を提出するなど再建のために積極的な活動をすることが制度上予定されていないので、その必要性に乏しいことなどを理由とするものである。どのような意見照会の結果を踏まえて、裁判所による代理委員の選任勧告又は職権による選任の制度は設けないものとしている。

2 意見照会においては、代理委員の報償金の制度(民時再生法第91条第1項参照)を設けないものとすることについては多数の賛成意見が寄せられた。これに対しては、代理委員によって財団の換価が適切に行われた場合や管財業務が簡素化された場合等は報償金の支払が適切であることもあるとの意見もあるが、代理委員が破産財団の管理及び換価に貢献したときは、その活動は破産債権者全体の利益に資するといえることから、その費用を財団債権として優先的に支払うことは可能であり、このような取扱いで足りるのではないかと考えられるが、どうか。

3 意見照会に対して寄せられた意見の中には、過半数の従業員が労働組合等に代理権を 付与している場合などは、破産手続の進行や破産管財人による破産財団の管理に関する事項について情報提供を行うなど、債権者委員会に準じた取扱いをすべきであるとの意見がある。しかし、過半数の従業員が労働組合等に代理権を付与している場合であっても、このような代理委員は、制度上、あくまで利害関係を共通にする特定の債権者を代表するものであって、破産債権者全体の利益を適切に代表するものと位置付けられる債権者委員会に準じた取扱いをすることは困難ではないかと考えられるが、どうか。

目次

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■第一次案

第1部 破産手続

第2部 個人の破産手続の特則及び免責手続等

第3部 倒産実体法

第4部 その他

■第二次案

第1部 破産手続

第2部 個人の破産手続の特則及び免責手続等

第3部 倒産実体法

第4部 その他

■第三次案

第1部 破産手続

第2部 個人の破産手続の特則及び免責手続等

第3部 倒産実体法

第4部 その他

■残された課題

第1部 破産手続

第2部 個人の破産手続の特則及び免責手続等

第3部 倒産実体法