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【第一次案】第3部 倒産実体法: 第3 多数債務者関係

<1> 複数の各自全部の履行をする義務を負う者の全員又はそのうちの数人若しくは一人が破産宣告を受け、かつ、債権者がその債権の全額について破産債権者として権利を行った場合において、破産者に対して将来行うことがある求償権を有する者が破産宣告後に債権者に弁済をしたときは、債権者の債権の全額が消滅した場合に限り、その求償権を有する者は、求償権の範囲内において、債権者が有した権利を破産債権者として行うことができるものとする(破産法第26条第2項参照)。

<2> 物上保証人についても、<1>と同様の取扱いとするものとする(同条第3項参照)。

(注)
1 意見照会の結果では、本文については、寄せられた意見のほとんどが賛成意見であったことから、中間試案どおり記載している(<1>)。

2  物上保証人の取扱いについては、意見が分かれたが、全部義務者と同様の取扱いとすべきであるとの意見が多数を占めた。また、近時の最高裁判例(最判平成14年9月24日判例タイムズ1106号76頁)においても、「物上保証人は、全部義務者と異なり、担保に供した特定財産の価額の限度において責任を負うにすぎないが、物上保証人も連帯保証人等の全部義務者も、債権者が債務者から債権の完全な弁済を受けられない場合に備えて、有限又は無限の責任を負担するものであって、責任の集積により債権の効力の強化を図るという点においては異なるものではないから、法26条3項において同条2項を準用する場合についても、上記と別異に解する理由はない」とされ、「債務者が、破産宣告を受けた場合において、債権の全額を破産債権として届け出た債権者は、破産宣告後に物上保証人から届出債権の弁済を得ても、届出債権全部の満足を得ない限り、なお届出債権の全額について破産債権者としての権利を行使することができるものと解するのが相当である」とされている。そこで、<2>では、物上保証人についても、判例の明文化を図り、全部義務者と同様の取扱いをするとの考え方を示している。

3 再生手続及び更生手続においても、同様の手当てを行うものとする。

目次

○トップページ

■第一次案

第1部 破産手続

第2部 個人の破産手続の特則及び免責手続等

第3部 倒産実体法

第4部 その他

■第二次案

第1部 破産手続

第2部 個人の破産手続の特則及び免責手続等

第3部 倒産実体法

第4部 その他

■第三次案

第1部 破産手続

第2部 個人の破産手続の特則及び免責手続等

第3部 倒産実体法

第4部 その他

■残された課題

第1部 破産手続

第2部 個人の破産手続の特則及び免責手続等

第3部 倒産実体法