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【第三次案】第1部 破産手続: 第7 債権者集会

1 債権者集会の招集
(1)財産状況報告集会(第1回債権者集会)
<1> 裁判所は、破産手続開始の決定と同時に、破産財団の状況を報告するための債権者集会の期日を定めなければならないものとする。
<2> <1>の規定にかかわらず、裁判所は、債権者の数その他の事情を考慮して債権者集会を招集することを相当でないと認めるときは、<1>の期日を定めないことができるものとする。

(2)(1)以外の場面における債権者集会
ア 一般的な債権者集会
<1> 裁判所は、次の各号に掲げる者のいずれかの申立てがあった場合には、債権者集会を招集しなければならないものとする。ただし、債権者の数その他の事情を考慮して債権者集会を招集することを相当でないと認めるときは、この限りでないものとする。
(i)破産管財人
(ii)債権者委員会
(iii)知れている破産債権者の総債権について裁判所が評価した額の十分の一以上に当たる破産債権を有する破産債権者
<2> 裁判所には、<1>の申立てがない場合であっても、相当と認めるときは、債権者集会を招集することができるものとする。
<3> <1>ただし書の場合において、債権者集会の決議を要するときは、裁判所は、これに代えて、後記4(ii)の方法によるものとする。

イ 異時廃止の決定をする際の意見聴取のための債権者集会
<1> 裁判所は、異時廃止の決定をする場合には、債権者集会において破産債権者の意見を聴かなければならないものとする。
<2> <1>にかかわらず、裁判所は、相当と認めるときは、<1>の債権者集会における破産債権者の意見の聴取に代えて、書面によって破産債権者の意見を聴くことができる。この場合においては、破産債権者の債権者集会の招集請求権(前記ア<1>参照)についての規定は、適用しない。

ウ 破産管財人の計算の報告
(ア)債権者集会における計算の報告
<1>破産管財人の任務が終了した場合には、当該破産管財人は、遅滞なく、債権者集会に計算の報告をしなければならないものとする。
<2><1>にかかわらず、<1>の[任務が終了した]破産管財人がいない場合には、<1>の計算の報告は、後任の破産管財人がしなければならないものとする。
<3>破産者、破産債権者又は後任の破産管財人(<2>により計算の報告をする者を除く。)は、債権者集会において、計算について異議を述べることができるものとする。
<4><3>の異議がなかった場合には、<1>又は<2>の計算は、承認されたものとみなすものとする。
<5>破産管財人は、利害関係人の閲覧に供するため、計算の報告書を債権者集会の日から3日前に裁判所に提出しなければならないものとする。

(イ)書面による計算の報告
<1>(ア)<1>の場合には、破産管財人は、(ア)<1>の報告に代えて、遅滞なく、計算の報告書を作成して裁判所に提出することができるものとする。(ア)<2>の場合における後任の破産管財人にこついても、同様とするものとする。
<2> 裁判所は、<1>の報告書が備え置かれている旨及びその計算に異議があれば一定期間内にこれを述べるべき旨を公告しなければならないものとする。この場合においては、その期間は、1月を下ることができないものとする。
<3> 破産者、破産債権者又は後任の破産管財人((イ)<1>後段により計算の報告書を提出する者を除く。)は、<2>の期間内に計算について異議を述べることができるものとする。
<4> <3>の異議がなかった場合には(イ)<1>の計算は、承認されたものとみなすものとする。

エ 不換価財産の処分の決議
不換価財産の処分の決議の制度(破産法第281条参照)は、廃止するものとする。

2 必要的決議事項の取扱い
(1)事業の継続
破産管財人は、破産手続開始の決定がされた後であっても、裁判所の許可を得て、事業を継続することができるものとする。

(2)高価品の保管方法
高価品の保管方法についての決議の制度(破産法第194条参照)は、廃止するものとする。

(注)
破産管財人は、高価品の保管方法について定め、裁判所に届け出なければならないものとすることを最高裁判所規則別で定めるものとする。

3 破産管財人の解任
裁判所は、破産管財人が破産財団の管理を適切に行っていないとき、その他重要な事由があるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、破産管財人を解任することができるものとする。この場合においては、その破産管財人を審尋しなければならないものとする。
(民事再生法第78条において準用する同法第57条第2項、会社更生法第68条第2項参照)

4 議決権の行使方法
裁判所は、決議をするときは、議決権行使の方法について、次に掲げる方法のいずれかを定めるものとするものとする。
(i)債権者集会の期日において議決権を行使する方法
(ii)書面等投票(書面その他の最高裁判所規則で定める方法のうち裁判所の定めるものによる投票をいう。)により裁判所の定める期間内に議決権を行使する方法
(iii)<1>及び<2>に掲げる方法のうち議決権者が選択するものにより議決権を行使する方法
(民事再生法第169条第2項、会社更生法第189条第2項後段参照)

5 決議の成立要件
債権者集会の決議案を可決するには、議決権を行使することができる破産債権者で出席した者の議決権の総額の2分の1を超える議決権を有する者の賛成がなければならないものとする。

6 債権者集会期日の労働組合等への通知
債権者集会の期日は、破産者の使用人その他の従業者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、破産者の使用人その他の従業者の過半数で組織する労働組合がないときは破産者の使用人その他の従業者の過半数を代表する者に通知しなければならないものとする。
(民事再生法第115条第3項、会社更生法第115条第3項参照)

(注) 労働組合の手続関与については、なお検討するものとする。

目次

○トップページ

■第一次案

第1部 破産手続

第2部 個人の破産手続の特則及び免責手続等

第3部 倒産実体法

第4部 その他

■第二次案

第1部 破産手続

第2部 個人の破産手続の特則及び免責手続等

第3部 倒産実体法

第4部 その他

■第三次案

第1部 破産手続

第2部 個人の破産手続の特則及び免責手続等

第3部 倒産実体法

第4部 その他

■残された課題

第1部 破産手続

第2部 個人の破産手続の特則及び免責手続等

第3部 倒産実体法