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【第一次案】第1部 破産手続: 第2 破産の申立て

1 破産の申立書の審査
(1)補正を命ずる処分

<1> 破産の申立ては、最高裁判所規則で定める事項を記載した書面でしなければならないものとする。

<2> <1>の書面(以下「破産の申立書」という。)が<1>の事頃を記載していない場合には、裁判所書記官は、相当の期間を定め、その期間内に不備を補正すべきことを命ずる処分をしなければならないものとする。民事訴訟費用等に関する法律の規定に従い破産の申立ての手数料を納付しない場合も、同様とするものとする。

<3> <2>の処分は、相当と認める方法で告知することによって、その効力を生ずるものとする。


(2) 処分に対する異議申立て

<1>(1)<1>の処分に対する異議の申立ては、その告知を受けた日から-週間の不変期間内にしなければならないものとする。

<2> <1>の異議の申立ては、執行停止の効力を有するものとする。

<3> 裁判所は、<1>の異議の申立てがあった場合において、破産の申立書の不備を補正すべきときは、自らその補正を命じなければならないものとする。

(注) <1>の異議の申立てに対する裁判は、裁判所が、決定で、すろこととなる(破産法第108条において準用する民事訴訟法第121条参照)。

(3)破産の申立書の却下

<1>(1)<2>又は(2)<3>の場合において、破産の申立てをした者が不備を補正しないときは、裁判長は、命令で、破産の申立書を却下しなければならないものとする。

<2> <1>の命令に対しては、即時抗告をすることができるものとする。

2 破産手続の費用
(1)費用の予納
<1> 破産の申立てをするときは、申立人は、破産手続の費用として裁判所の定める金額を予納しなければならないものとする(民事再生法第24条第1項、会社更生法改正案第21条第1項参照)。

<2> 費用の予納に関する決定に対しては、即時抗告をすることができるものとする(民事再生法第24条第2項、会社更生法改正案第21条第2項参照)。

(2)国庫仮支弁
国庫仮支弁については、仮に支払いをすべき必要性が特に高い場合に限って利用することができるものとするが、その内容についてはなお検討するものとする。

(注) 要件については、意見照会の結果等を踏まえ.次回以降検討するものとする。

3 破産手続開始の条件
次の(i)又は(ii)のいずれかに該当する場合には、裁判所は、破産の申立てを棄却しなければならないものとする(民事再生法第25条、会社更生法改正案第41条第1項参照)。
(i)破産手続の費用の予納がないとき(2(2)により費用を仮に国庫から支弁する場合を除く。)。
(ii)不当な目的で破産の申立てがされたとき、その他申立てが誠実にされたものでないとき。


(破産の申立て関係後注)
監督官庁による破産の申立ての制度等について、破産法中に一般的な規定を設けることはせず、個別法の規定に委ねるものとすることで、どうか。この問題については、これまでの倒産法部会の審議において、公益的な観点から、一般的な監督官庁による申立権を認める規定を破産法に設けるべきであるとの意見も述べられていたところであるが。(a)破産手続は債務者の解体・清算を内容とするものであって、社会的な影響が非常に大きいものであり、政策的な見地からも慎重な検討を要する、(b)監督官庁に-律に申立権を付与する場合には、監督権限を強化することについて合理性が認められない法人についてまで監督権限を強化することになる等との指摘がされている。このような反対意見の指摘するところをも踏まえて、監督官庁に破産の申立権を認める必要性があると考えることができる場合を検討すると.具体的には、<1>定型的に多数の債権者が存在し、かつ、迅速な破産の申立てができないと、多数の債権者に深刻な影響が生ずるおそれがある場合であって、<2>債権者自らが破産の申立てを行うことを期待することができない場合ということができると思われる。金融機関等の更生手続の特例等に関する法律は、預金債権者保護の観点(<1>)から、調査権限等を有する監督官庁が、預金債権者を代理する立場にある(<2>)として、破産申立権を認めたものであり、このような観点からの説明が可能であると解されるが.一般には.監督官庁といっても業種によって規制の程度や態様が異なって、金融機関に対する規制のあり方と同様に考えることはできず、破産申立てが必要となる業種を一義的に明確な概念によって回することは困難であると考えられる。これに対しては、破産の申立権を付与するかどうかについては監督官庁の権限によって画するという意見もあるが、個別の各業法において与えられている監督官庁の権限は様々であって、共通の権限であっても、その趣旨、目的は異なり.権限から業種を限定することばできないと考えられる。 このように考えると、監督官庁による破産の申立権を破産法に一般的に規定することは 極めて困難であるといわざるを得ないと考えられるが.どうか。

目次

○トップページ

■第一次案

第1部 破産手続

第2部 個人の破産手続の特則及び免責手続等

第3部 倒産実体法

第4部 その他

■第二次案

第1部 破産手続

第2部 個人の破産手続の特則及び免責手続等

第3部 倒産実体法

第4部 その他

■第三次案

第1部 破産手続

第2部 個人の破産手続の特則及び免責手続等

第3部 倒産実体法

第4部 その他

■残された課題

第1部 破産手続

第2部 個人の破産手続の特則及び免責手続等

第3部 倒産実体法