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【第三次案】第1部 破産手続: 第15 配当手続

1 配当の公告等
<1> 破産管財人は、配当に加えるべき債権の総額及び配当することができる金額を公告し、又は届出破産債権者に通知しなければならないものとする(破産法第260条参照)。
<2> <1>による通知は、その通知が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなすものとする。
<3> <1>による通知が<2>により各届出破産債権者に到達したものとみなされたときは、破産管財人は、裁判所にその旨を届け出るものとする。
<4> 中間配当又は最後配当に関する除斥期間は、<1>による公告が効力を生じた日又は<3>による届出があった日から起算するものとする。

2 中間配当の配当率
中間配当の配当率についての裁判所の許可等の制度(破産法第265条第2項参照)は、廃止するものとする。

3 債権証書への配当金額の記入
債権の証書に配当した金額を記入する制度(破産法第269条第2項参照)は、廃止するものとする。

4 最後配当
(1)最後配当の時期の定め
裁判所は、破産管財人の意見を聴いて、最後配当を実施すべき時期を定めることができるものとする。
(2)裁判所書記官による許可
破産管財人は、最後配当をするには、裁判所書記官の許可を得なければならないものとする(破産法第272条参照)。
(3)除斥期間
最後配当に関する除斥期間は、上記1<1>による公告が効力を生じた日又は上記1<3>による届出があった日から起算して2週間とするものとする(破産法第273条参照)。

5 追加配当
追加配当における配当することができる金額の公告の制度(破産法第283条第2項参照)は、廃止するものとすることで、どうか。

6 別除権者の配当参加
(1)被担保債権が担保されなくなったことによる配当参加
別除権者は、その別除権の行使にこよって弁済を受けることができない債権額についてのみ、破産債権者として、その権利を行うことができるものとする。ただし、別除権に係る担保権によって担保される債権の全部又は一部が破産手続開始後に担保されないこととなった場合には、その債権の全部又は一部について、破産債権者として、その権利を行うことを妨げないものとする(破産法第96条参照)。(民事再生法第88条参照)

(注)
配当表の更正(破産法第263条第3号参照)及び最後配当からの除斥(同法第277条参照)について、所要の整備をするものとする。

(2)根抵当権に関する特則
(ア)中間配当
<1> 破産管財人は、別除権に係る根抵当権の被担保債権である破産債権については、当該破産債権を有する者が破産管財人に対し当該根抵当権の行使によって弁済を受けることができない債権額を証明しないときでも、当該破産債権を配当表に記載しなければならないものとすることで、どうか。この場合においては、中間配当の許可があった日における当該被担保債権のうち極度額を超える部分を配当に加えるべき破産債権の額とするものとすることで、どうか(破産 法第258条第1項第2号参照)。
<2> 破産管財人は、破産法第263条第2号又は第3号の場合を除き、<1>の極度額を超える部分に対する配当額を寄託しなけれいばならないものとすることで、どうか(破産法271条第3号参照)。

(イ)最後配当
<1> 破産管財人は、別除権に係る根抵当権の被担保債権である破産債権については、当該破産債権を有する者が破産管財人に対し当該根抵当権の行使によって弁済を受けることができない債権額を証明しないときでも、当該破産債権を配当表に記載しなければならないものとする。この場合においては、最後配当の許可があった日における当該被担保債権のうち極度額を超える部分を配当に加えるべき破産債権の額とするものとする(破産法第258条第1項第2号参照)。
<2> 最後配当に関する除斥期間が経過したときは、破産法第263条第3号の場合を除き、<1>の極度額を超える部分は、<1>の根抵当権の行使によって弁済を受けることができない債権額とみなすものとする。

(注)
第23回会議では、(イ)の最後配当に関して、別除権者が根抵当権の目的の処分に着手したことを証明することを要件とするか否か(倒産法部会資料32・第13.3(2)注4参照)については、要件としないとの考え方が多数を占めた。この考え方によれば(ア)の中間配当に関しても、根抵当権の極度額を超える部分は除斥されず(破産法第262条参照)、当該部分に対する配当額は寄託しなければならない(同法第271条)ものとすることが考えられるが、どうか。これに対し、中間配当後の被担保債権額の増額(利息等の発生)により最後配当までの間に極度額を超える部分が増加し、中間配当における寄託額が中間配当において配当すべき額に不足することになることが多いと考えられることから、破産管財人が中間配当の許可日を基準として極度額を超える部分に対する配当額を計算してこれを寄託するまでの必要はなく、中間配当の配当率を定める際に、根抵当権の極度額を超える部分に対して将来配当すべき額を事実上考慮すれば足りるものとし、中間配当については特段の制度上の手当を講じないことも考えられるが、どのように考えるか。

7 少額の配当に関する特則
(1) 配当金を受領する意思の届出
<1> 破産手続に参加しようとする破産債権者は、債権届出期間内に、各債権について、その内容等(破産法第228条参照)のほか、当該破産債権者に対する配当額の総額が最高裁判所規則で定める金額に満たない場合であっても配当金を受領する意思があるときはその旨を、裁判所に届け出なければならないものとする。
<2> 届出をした破産債権を取得した者は、届出名義の変更(倒産法部会資料40第10・1(3)参照)を受ける場合には、その者に対する配当額の総額が<1>の最高裁判所規則で定める金額に満たない場合であっても配当金を受領する意思があるときはその旨を裁判所に届け出なければならないものとする。

(2)中間配当
破産管財人は、(1)<1>及び<2>に規定する事項の届出をしなかった破産債権者が有する債権に対する配当額に相当する金銭を寄託しなければならないものとする(破産法第271条参照)。

(3)最後配当
<1> 破産管財人は、破産法第274条の規定により各破産債権者に対する配当額を定めた場合において、(1)<1>及び<2>に規定する事項の届出をしなかった破産債権者について、次の(i)及び(ii)に掲げる金額の合計額が(1)<1>の最高裁判所規則で定める金額に満たないときは、当該破産債権者に対して(i)の配当額を配当することはできないものとする。(i)破産管財人が破産法第274条の規定により定めた当該破産債権者に対する配当額
(ii)破産管財人が(2)により当該破産債権者が有する破産債権について寄託した金銭の総額
<2> <1>の場合には、<1>(i)及び(ii)に掲げる金額の合計額は、他の破産債権者に配当しなければならないものとする。
<3><1>の場合には、破産管財人は、各破産債権者(<4>に規定する者を除く。)に対し、破産法第274条の規定により定めた配当額のほか、<2>により当該破産債権者に配当すべき配当額の合計額を通知しなければならないものとする。
<4> 破産法第274条の規定にかかわらず、<1>の場合には、<1>により配当することができない破産債権者に対しては、同条の規定による通知をすることを要しないものとする。

(4)追加配当
<1> 破産管財人は、破産法第283条第2項の規定により各破産債権者に対する配当額を定めた場合において、(1)<1>及び<2>に規定する事項の届出をしなかった破産債権者について、当該配当額が<1>の最高裁判所規則で定める金額に満たないときは、当該破産債権者に対して当該配当額を配当することはできないものとする。
<2> (3)<2>から<4>までは、<1>の場合について準用するものとする。

(注)
(1)<1>の最高裁判所規則で定める金額は、1000円とすることで、どうか。

8 簡易な配当の特則
(1)最後配当における配当することができる金額が一定金額に満たない場合の簡易な配当手続の特則
<1> 破産管財人は、最後配当において、配当することができる金額が1000万円に満たない場合には、<3>から⑨までに規定する手続(以下「簡易配当手続(仮称)」という。)による配当をすることができるものとする。ただし、中間配当を行ったときは、この限りでないものとする。
<2> 破産管財人は、簡易配当手続(仮称)による配当をするには、裁判所書記官の許可を得なければならないものとする(上記4(2)参照)。
<3> 破産管財人は、配当表を作成し、これを裁判所に提出した後、各届出破産債権者に対する配当見込額を定めて、各届出破産債権者に対し、配当に加えるべき債権の総額、配当することができる金額及び当該届出破産債権者に対する配当見込額を通知しなければならないものとする(破産法第274条参照)。
<4> <3>による通知は、その通知が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなすものとする。
<5> <3>による通知が<4>により各届出破産債権者に到達したものとみなされたときは、破産管財人は、裁判所にその旨を届け出るものとする。
<6> 簡易配当手続(仮称)に対する除斥期間に関する規定(破産法第261条、第275条から第277条まで参照)の適用については、<5>による届出があった日から起算して1週間の期間を最後配当に関する除斥期間とするものとする(上記4(3)参照)。
<7> 各届出に破産債権者は、<5>による届出があった日から起算して2週間以内に限り、裁判所に対して、<3>の配当表に対する異議を申し立てることができるものとする(破産法264条参照)。
<8> 破産管財人は、<5>による届出があった日から起算して2週間を経過した後(<7>による異議の申立てがあったときは、当該申立てについての決定があった後)、配当額を定めて、配当を行わなければならないものとする(破産法第274条参照)。

(2)最後配当における届出破産債権者の全員が異議を述べない場合の簡易な配当手続の特則
(ア)手続開始時異議確認型
<1> 裁判所は、相当と認める場合には、破産手続開始の決定の公告及び通知(破産法第 143条第1項及び第2項参照)とともに、破産債権者が、簡易配当手続(仮称)による配当をすることについて異議があるときは、一般調査期間の末日又は一般調査期日の終了時までに、裁判所に異議を述べるべき旨を公告し、かつ、通知することができるものとする。
<2> 裁判所書記官は、<1>による公告及び通知をした場合において、届出破産債権者が<1>に規定する異議を述べないときは、破産管財人の申立てにより、最後配当において、簡易配当手続(仮称)による配当をすることを許可することができるものとする。ただし、中間配当を行ったときは、この限りでないものとする。

(イ)配当時異議確認型
<1> 裁判所書記官は、(ア)により簡易配当手続(仮称)による配当を許可することができない場合でも、相当と認めるときは、破産管財人の申立てにより、最後配当において、簡易配当手続(仮称)による配当をすることを許可することができるものとする。ただし、中間配当を行ったときは、この限りでないものとする。
<2> <1>による許可があった場合には、破産管財人は、各届出破産債権者に対し、配当に加えるべき債権の総額、配当することができる金額及び当該届出破産債権者に対する配当見込額のほか、届出破産債権者が、簡易配当手続(仮称)による配当をすることについて異議があるときは、上記(1)<5>による届出があった日から起算して1週間の期間内に、裁判所に異議を述べるべき旨を通知しなければならないものとする。
<3> <1>による許可があった場合において、届出破産債権者が、上記(1)<5>による届出があった日から起算して1週間の期間内に、簡易配当手続(仮称)による配当をすることについて裁判所に異議を述べたときには 裁判所書記官は、当該許可を取り消さなければならないものとする。
<4> <3>による取消しの処分があったときは、破産管財人は、配当の公告等(上記1参照)以下の本則となる配当手続を行わなければならないものとする。

(3)最後配当における届出破産債権者の全員が同意した場合の簡易な配当手続の特則
最後配当において、破産管財人が定めた配当表、配当額、配当時期及び配当方法について、届出破産債権者の全員が同意したときは、裁判所書記官の許可を得て、当該配当表、配当額、配当時期及び配当方法に従って、配当を行うことができるものとする。

目次

○トップページ

■第一次案

第1部 破産手続

第2部 個人の破産手続の特則及び免責手続等

第3部 倒産実体法

第4部 その他

■第二次案

第1部 破産手続

第2部 個人の破産手続の特則及び免責手続等

第3部 倒産実体法

第4部 その他

■第三次案

第1部 破産手続

第2部 個人の破産手続の特則及び免責手続等

第3部 倒産実体法

第4部 その他

■残された課題

第1部 破産手続

第2部 個人の破産手続の特則及び免責手続等

第3部 倒産実体法