<1> 民法第423条の規定により破産債権者が提起した訴訟が破産宣告時に係属するときは、その訴訟手続は、中断するものとする。
<2> <1>によって中断した訴訟手続は、破産管財人においてこれを受け継ぐことができるものとする。この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができるものとする。
<3> <2>の場合においては、相手方の<1>の訴訟を提起した破産債権者に対する訴訟費用請求権は、財団債権とするものとする。
<4> <1>によって中断した訴訟手続について<2>による受継があった後に破産手続が終了したときは、当該訴訟手続は中断するものとする。
<5> <4>の場合には、<1>の訴訟を提起した破産債権者において当該訴訟手続を受け継がなければならないものとする。この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができるものとする。
<6> <1>によって中断に、た訴訟手続について<2>による受継があるまでに破産手続が終了したときは、<1>の訴訟を提起した破産債権者は、当該訴訟手続を当然に受継するものとする。(民事再生法第140条、新会社更生法第98条参照)
(注)
1 条文の配置については、破産宣告の効果に関する規定として、詐害行為取消訴訟(民事再生法第140条等)と並べて規定する(詐害行為取消訴訟に関する規定は、否認権に関する節に規定しない。)ことが考えられるが、どうか。
2 転用型事例の取扱いについては(i)転用型事例においても、被代位権利の行使は、破産財団の管理及び処分に属し、破産管財人による権利行使を認めるのが適切であること、(ii)当該訴訟によって当該債権者の有する破産債権の実現が図られるときは、当該債権者が当然に訴訟追行を継続することは、破産法第16条に反し適切ではないことから、一般に、通常の代位訴訟と異なる取扱いをすべきこととはならないものと考えられる。もっとも、直接請求に基づ<訴訟と併せて代位訴訟が提起されている場台のように、破産管財人による権利行使が破産財団の増殖等総債権者の利益に資するわけてばなく、また、当該債権者による訴訟追行が破産法第16条に反しないと考えられる場合には、当該訴訟の中断及び破産管財人による受継という取扱いをすることに十分な理由はなく、このような場合には、債権者代位訴訟の中断は生ないとする考え方も十分にあり得るところである。転用型事例について、総債権者の利益に資するか等の観点から、どのような類型が中断・受継の対象となるかを予め明確に規定することは、判例及び学説において個別の事例が確立しているにすぎない転用型事例の性格上、困難であり、この点は、制度趣旨を踏まえた「民法第423条の規定により破産債権者が提起した訴訟」の解釈に委ねるものとすることが適切であると考えられるが、どうか。
3 再生手続及び更生手続においても、同糠の手当てを行うものとする。