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【第三次案】第1部 破産手続: 第10 破産債権の届出、調査及び確定

1 破産債権の届出
(1)債権届出期間又は債権調査期間等
<1> 裁判所は、破産手続開始の決定と同時に、破産財団の状況を報告するための債権者集会の期日のほか、次に掲げる事項を定めなければならないものとする。
(i)破産債権の届出をすべき期間
(ii)破産債権の調査をするための期間又は期日
<2> <1>(i)及び(ii)にかかわらず、裁判所は、破産財団をもって破産手続の費用を償うのに足りなくなるおそれがあると認めるときは、<1>(i)の期間並びに<1>(ii)の期間及び期日を定めないことができるものとする。
<3> <2>の場合において、裁判所には破産財団をもって破産手続の費用を償うのに足りなくなるおそれがなくなったと認めるときは、<1>(i)の期間及び<1>(ii)の期間又は期日を定めなければならないものとする。

(2)一般調査期間経過後又は一般調査期日終了後の届出等
<1> 破産債権者は、一般調査期間の経過後又は一般調査期日の終了後は、裁判所に破産債権の届出をすることができないものとする。ただし、破産債権者がその責めに帰することができない事由によって一般調査期間の満了又は一般調査期日の終了までに届出をすることができなかった場合には、その事由が消滅した後1月以内に限り、届出をすることができるものとする。
<2> <1>の1月の期間は、伸長し、又は短縮することができないものとする。
<3> 一般調査期間の経過後又は一般調査期日の終了後に生じた破産債権についてには その権利の発生した後1月の不変期間内に、届出をしなければならないものとする。
<4> <1>及び<2>は、破産債権者が、その責めに帰することができない事由によって、届け出た事項について他の破産債権者の利益を害すべき変更を加える場合について準用するものとする。
(民事再生法第95条、会社更生法第139条参照)

(3) 届出名義の変更
届出をした破産債権を取得した者は、一般調査期間が経過した後又は一般調査期日が終了した後でも、届出名義の変更を受けることができるものとする(民事再生法第96条前段、会社更生法第 141条参照)。

(4) 租税等の請求権の届出
国税徴収法又は国税徴収の例によって徴収することのできる請求権であって、財団債権に該当しないものを有する者は、遅滞なく、当該請求権の額及び原因その他最高裁判所規則で定める事項を裁判所に届け出なけれいばならないものとする。

(注) 破産債権である租税債権の届出についても、破産手続開始の決定前の罰金等(破産法第254条)と同様の取扱いをするものであり、届け出られた債権は、破産手続開始の決定前の罰金と同様に、破産債権者表に記載されるが、債権調査手続は行われないことになる。

(破産債権の届出関係後注)
財団債権の弁済を受けようとする者が破産管財人に対してする通知(部会資料34第2(各種債権の優先順位後注1)参照)については、再建型の手続からの移行がされた場合における当該手続の共益債権等その必要性が大きいものにつき、最高裁判所規則で定めるものとすることで、どうか。

2 破産債権の調査
(1)債権調査の方法
<1>裁判所による破産債権の調査は、破産管財人が作成した認否書並びに破産者及び破産債権者の書面による異議に基づいてするものとする。
<2>裁判所は、<1>にかかわらず、必要があると認めるときは、破産債権の調査を、期日における破産管財人の認否並びに破産者及び破産債権者の異議に基づいてすることができるものとする。

(注)一般調査期間経過後であっても、必要と認めるときは、特別調査について、期日における債権調査(<2>)の方式を、一般調査期日終了後であっても、特別調査について、書面による債権調査(<1>)の方式を、それぞれとることができるものとすることで、どうか。

(2)特別調査期間等に関する費用の予納
<1> 裁判所が、債権届出期間経過後の届出又は他の破産債権者の利益を害すべき届出事項の変更があった破産債権について、その調査をするための特別調査期間又は特別調査期日(以下「特別調査期間等」という。)を定める場合には、特別調査期間等に関する費用は、当該破産債権を有する者の負担とするものとする。
<2> <1>の場合には、裁判所書記官は、相当の期間を定め、<1>の費用の予納を命ずる処分をしなければならないものとする。
<3> <2>の処分は、相当と認める方法で告知することによって、その効力を生ずるものとする。
<4> <2>の処分に対する異議の申立ては、その告知を受けた日から1週間の不変期間内にしなければならないものとする。
<5> <4>の異議の申立ては、執行停止の効力を有するものとする。
<6> <2>の場合において、<1>の破産債権を有する者が<2>による予納をしないときは、裁判所は、決定で、<1>の破産債権の届出又は届出事項の変更に係る届出を却下しなければならないものとする。
<7> <6>の決定に対しては、即時抗告をすることができるものとする。

(注) 再生手続及び更生手続において、同様の手当てを行うものとする。

(3)特別調査期日の公告
特別調査期日を定める決定の公告の制度(破産法第237条参照)は、廃止するものとする。

3 破産債権者表等
(1) 破産債権者表の記載
<1> 裁判所書記官は、破産債権の調査の結果を破産債権者表に記載しなければならないものとする。
(民事再生法第104条第2項、会社更生法第150条第2項参照)
<2> 裁判所書記官は、破産管財人又は破産債権者の申立てにより、破産債権の確定に関する訴訟の結果(査定の申立てについての裁判に対する訴えが期間内に提起されなかったとき、又は却下されたときは、当該裁判の内容)を破産債権者表に記載しなければならないものとする。
(民事再生法第110条、会社更生法第160条参照)

(2)債権証書への記載
債権証書に当該債権が確定した旨を記載する制度(破産法第241条第2項参照)は、廃止するものとする。

(3)破産債権者表の更正
破産債権者表の記載に誤りがあるときは、裁判所書記官は、申立てにより又は職権で、いつでもその記載を更正する処分をすることができるものとする。

(注)
1 この更正処分は、破産債権者表の記載の形式上の瑕瑕疵について、誤りが明白でないものも含めて、裁判所書記官の更正の対象とするものである。更正処分に対して異議がある場合は、破産法第108条において準用する民事訴訟法第121条によるものとする。
2 再生手続における再生債権者表及び更生手続における更生債権者表等についても、同様の手当てを行うものとする。

4 破産債権の確定
(1)決定による債権確定手続
破産債権の調査において、破産管財人又は届出をした債権者の異議等があった破産債権の内容については、査定の手続及び査定の申立てについての裁判に対する異議の訴えの手続により確定を行うものとする。
(民事再生法第105条、会社更生法第151条参照)

(2)債権確定手続の申立期間等
<1>(1)の査定の申立ては、異議等のある破産債権に係る調査期間の末日又は調査期日から1月の不変期間内にしなければならないものとする。(民事再生法第105条第2項、会社更生法第151条第2項参照)
<2> 執行力ある債務名義又は終局判決のある破産債権について、破産者がすることのできる訴訟手続によって異議を主張する場合には、当該異議の主張は、当該破産債権に係る調査期間の末日又は調査期日から1月の不変期間内にしなければならないものとする。(民事再生法第109条第3項、会社更生法第158条第3項参照)

目次

○トップページ

■第一次案

第1部 破産手続

第2部 個人の破産手続の特則及び免責手続等

第3部 倒産実体法

第4部 その他

■第二次案

第1部 破産手続

第2部 個人の破産手続の特則及び免責手続等

第3部 倒産実体法

第4部 その他

■第三次案

第1部 破産手続

第2部 個人の破産手続の特則及び免責手続等

第3部 倒産実体法

第4部 その他

■残された課題

第1部 破産手続

第2部 個人の破産手続の特則及び免責手続等

第3部 倒産実体法